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良いこともストレス?

  • 2018年11月2日

現代はストレス社会というような使い古された言葉があるように、現代人はさまざまなストレッサーにさらされているのでしょう。

「ストレス」という語ですが物体の「ゆがみ」を意味する物理学の言葉が医学でも使われるようになったもので、「生体内のひずみ状態」を意味しています。そしてひずみを引き起こす有害原因をストレッサー(ストレス作因)といいます。元来は外的な有害原因を指していましたが今では「物理的」「生物学的」「化学的」「精神的」ストレッサ―というように分類されていて、これらに適応できなくなると体の恒常性に不調をきたして病気になると考えてます。

東洋医学で、体の気を滞らせ(生体機能を邪魔する)陰陽のバランスを崩す(恒常性がくずれる)原因とされる「邪気」の概念はストレッサーとよく似ています。東洋医学では外因の邪気として「風、寒、暑、湿、燥、火」と「疫れい」(おそらく病原体)、内因の邪気として「怒、喜、思、悲、憂、恐、驚」の感情を上げています。現代人は精神的ストレッサー、内因の邪気がとても気になるのではないでしょうか。「ストレスが溜まる!」という悲鳴、よく聞きますよね。東洋医学では古来より感情の過不足は病気の原因としているのですが、怒りや恐れなどは分かるけどなぜ「喜」が邪気、ストレッサーになるの?と思った方は少なくないと思います。古代中国人、良い観察眼を持っていたと思います。

実は良いこと悪いこと関係なく、様々なイベントにより生じる変化は適応するために労力が必要であって、ストレスの原因になるということが分かっています。その研究の結果生まれたのがホームズらが作った「社会再適応尺度」です。チェックをつけるイベントに、「結婚」とか「成功」とかもあります。ここ1年のライフイベントにチェックをつけて最後に加算して点数化するのですが、追跡調査から200~299点までは50%、300点以上は80%の人に健康上の危険性があるといわれています。

50年くらい前の米国で作られたものなので、現代の日本人にそのままだと合わないところもあるのですが、それでも点数が異常に高い人はストレスや健康に注意が必要なのは間違いないのと、自分にかかっているストレスを考えるためにとても有用です。※日本の研究者が現代日本人用の尺度について研究しています。

ではテストをして、自分のストレスについて考えてみましょう。

社会再適応尺度