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鍼道秘訣集 四 三清浄

四 三清浄みっつのすまし

 

此、三の清浄すまし心法の沙汰なり。※ これ、心の字の形なり

三つの清浄という心の法について述べましょう。
これは、心の字の形を表しています。


三つの輪は、きよきよきぞから衣くるとおもうな、取とおもわじ。三つの輪と云は、貪欲どんよく、むさぼる瞋恚しんい、いかる愚痴ぐち、おろかの三毒の心の清き月をくもらす悪雲なり。

この歌は、能の「三輪」で、僧の玄賓が里女に与えた自身の衣が、三輪明神の御神木である二本杉の下枝にかかっているのを人づてに教えてもらって自身の目で確認した際に、衣のつまに金色の文字で書かれていた歌です。
この三輪は、三輪(みわ)のことであり、おそらくここでは仏教の三輪、布施の際の施者、受者、施物を示している考えられています。仏教では、三輪空の教えというものがあって、誰が、誰かに、何かを与えたという事に対する見返りの執着を手放すこと、損得を手放すことにより心の清浄を得るという教えです。(色々な説明があるようです。)
次に、三つの輪の説明があるので、鍼道秘訣集での三輪は、貪欲、瞋恚、愚痴の三つで、これらに対する執着を戒めていると取れます。


三つの輪を清めて心を澄ませましょう。唐衣をもらおうとおもうな、奪おうとおもうな。

三つの輪というのは、むさぼりおもう心、いかる心、おろかなる心、これらの三毒は心の清き月をくもらす悪雲となります。