鳩尾は剣状突起下端の経穴です、鳩の尾と似ているため鳩尾と呼ばれます。この部位は、水を飲むときに胃に落ち込むのが感じられる部分のため、「水落ち」と言われます。現在、鳩尾を「みぞおち」と読みますが、語源は「水落」にあります。
東洋医学では、人体の火を君火と相火に分けています。明るさを放つ陽の火が君火、熱を保つ陰の火が相火、星に例えると太陽より放たれる光が君火で、地球の中の熱が相火です。人体では心の陽気が君火、腎の陽気が相火です。易の先天八卦では、東、春の方向に君火に該当する離火の卦が当てられており、それより「毎年三月、四月の温かなる火」と書かれています。
鳩尾は、俗にみづおち(みぞおち)といい、この場所を心の臓と名付けます。少陰の君火とは、毎年3、4月に感じられる温かい陽気のことです。
「心悸」には「むなさわぎ」と振り仮名がふられているので、不安などで動悸がある事を指していると考えます。
心に邪気があるときは、眩暈がして、舌に病があり、頭痛があって夜眠れません。また、寝ている最中に驚いて起きたり、不安があって動悸があったり、胸が痛むなどの症状が出ます。
「募」は集まるの意味です。「脾募」とは、脾の気が集まるという意味でしょうか?
「煩」は、精神的そして肉体的な苦しみ、病の事です。
鳩尾の両隣を脾募と名付けます。ここに邪気があるときは、手足、唇の症状や両肩の痛みなどがあります。