• テーラメイドな鍼灸を目指して

起死回生のツボ、人中(水溝)を腰痛に使ってみる。

  • 2019年5月25日

「人中」(人中)というツボをご存知ですか? 武術における急所として有名なところです。鍼灸学では「水溝穴」と呼ばれています。三才思想では、人は天の下、地の上にあるとされます。このツボは、「天の気(空気)が入る鼻の下、地の気(飲食物)が入る口の上、に位置することから「人中」と呼ばれるのだそうです。

陰を主る任脈、陽を主る督脉という経脈が接合するところとされ、東洋医学の概念上は生命の維持に関連するような意味を持たされています。

実際このツボは起死回生のツボとして伝えられていて、現代の日本では使用する機会はなかなかありませんが、中国では(急性期を含む)脳卒中、意識障害、癲癇の引きつけなど脳の障害に用いられています。脳梗塞に見立てた脳虚血再灌流モデル動物を用いた研究では、脳細胞の障害を緩和する可能性が示されています。そして腰痛に用いられることもあります。

非常によいツボのの一つなのですが、欠点がありまして・・・・、とても痛いのです。現場を見たことがあるのですが、意識障害の方に人中に鍼をして刺激をすると目を開くぐらいです。

それぐらい強い刺激を感じる所で、意識がある方だと涙が出るくらいです。ぎっくり腰に使用して著効した中国での症例など読んで、使ってみたいな~と思う事は何度かありましたが、実際に使用することはありませんでした。最近、ちょっとしたきっかけで使用してみて、他の方法の効果が効かなかった腰痛の患者さんに効果を感じ、以後、よく使うツボの一つになりました。

直径0.12㎜という非常に細い鍼を使って人中に刺鍼してるのですが、痛みに敏感な患者さんでも大丈夫でした。しかし、案の定ほとんど何も感じません。(笑) そこで鍼の管をかぶせてトントン叩く暁鍼術を使ってみたところ、背骨全体に流れる感じが生じて首と腰が同時に楽になられたとか。振動刺激が効いているのでしょうか?