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逆子とお灸について

逆子とお灸について

逆子(骨盤位)とは?

胎児がおなかの中でとっている姿勢は、頭が下でお尻が上の「頭位」が一般的とされています。その反対に、頭が上でお尻が下となっている姿勢が「骨盤位」、いわゆる逆子です。

国立成育医療センターによると、妊娠37週時点で胎児が逆子となっている妊婦さんの割合は、およそ3%といわれます。

逆子のままでの経膣出産はさまざまなリスクを伴うため、帝王切開を選ばざるをえない場合が多いのが現状です。
その逆子への対処法のひとつとして、お灸治療が行われています。

逆子に対するお灸


骨盤位矯正、つまり逆子矯正を目的とした灸施術で主に使用するのは、「三陰交」と「至陰」と呼ばれる足のツボです。
報告によって差がありますが、灸施術を受けた逆子の妊婦の改善率は60~80%程度といわれています。*²*³*⁴

医師による骨盤位矯正を目的とした鍼灸院への紹介により、骨盤位矯正率は経時的に増加するという研究結果もあります。*⁵

また、お灸をすると胎児の動きが活発になることが報告されていいます。
大きな有害事象(副作用)の報告はありません。ただ、すぐに改善されるとは限らないため、お灸による逆子矯正を目指す場合は、できれば30週に入るまでに通院を開始するのがおすすめです。

お灸をすると身体がポカポカとあたたまり、リラックスにもつながります。鍼灸師としては、身体はもちろん心のコンディションを整える観点でも、お役に立てると思っています。

逆子など妊娠中の不調にお悩みの方は、鍼灸施術で対応することを選択肢に入れてみるのもいいかもしれません。

(参考文献)

*1:国立研究開発法人成育医療センター「骨盤位外来」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/senmon/kotsubani.html#02

*2:東原亜希子、堀内成子、鍼灸施術を受けた骨盤位の転帰と胎動の変化、日本助産学会誌、2016;30(1):120-130

*3:林田和郎、鍼灸による胎位矯正法、全日本鍼灸学会雑誌、1988;38(4):335-339

*4:Cardini F.et al:Moxibusion for correction of breech of presentation:a randomized controlled trial,JAMA,1998,280(18):1580-1584.

*5:畑瀬理惠子,糸井信人 , 長谷川尚哉,林正敏,骨盤位矯正を目的に実践された病鍼連携の成果― 骨盤位矯正が図られた週令数およびそのときの骨盤位矯正率に着目した解析より ―,日本東洋医学系物理療法学会誌2020;45(2):33-40