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鍼灸の起源

鍼灸の起源について

鍼術の起源については、石器時代に遡ります。鍼は砭石(へんせき)と呼ばれる石器の鍼でナイフのようなもので、主に排膿のために使用されていたようです。後に、骨や竹、陶器のかけらなどで作られるようになり、新石器時代(6千年~7千年前)の遺跡からは、さまざまな骨鍼が出土しています。金属で鍼が作られるようになったのは、戦国時代(BC400~221)ぐらいと推測されています。

灸術は、木の枝などを焼いて熱したものを皮膚にあてたり、炙ったりして治療を行うようになったのが最初であると考えられていて、艾を使用するになったのは戦国時代ぐらいからです。

いつから経穴(けいけつ、治療ポイントのツボのこと)や経穴をつない経絡(けいらく)を利用して鍼灸治療をしたかよく分かりません。『黄帝内経霊枢』には、経絡の流れに関する記載や治療法が記載されていました。最古の鍼灸専門書は皇甫謐(214-282)による「黄帝三部鍼灸甲乙経」(3世紀後半頃)になって、経絡と経穴がかなり整理されました。甲乙経以前には、『黄帝明堂孔穴鍼灸治要』が存在して甲乙経の編纂に用いられていますが、散逸しており詳細ははっきりしていません。それ以前のものとなると、馬王堆古墳より発見された十一脈灸経が挙げられます。この本は経脈の流れとその病証に関しての記述があるが、治療点である経穴の記載がない、どこそれの経に灸せよというような書き方である。近年発掘された経絡人形にしても経穴が書かれていません。

経絡を用いた治療は鍼(初期の鍼は、排膿・切開などの外科の道具である)より灸の方が早く、従来は、治療経験より経穴が発見され、それをつなげた機能系としての経絡というシステムが考案されたと考えていたようですが、1993年に四川省の墳墓より発掘された経穴人形のように、古い遺物に関しては経絡はあるが経穴がないものが出土しているため経穴より経絡の発見の方が早かった可能性があり、鍼灸治療の発祥に関しては謎に包まれています。