当院では、ウチバリと呼ばれる鍼治療を行っています。現在では打鍼をダシンと読む標記が多いです。これは槌を用いて鍼へ振動をつたえて治療を行う、中国にはない日本独自の鍼術で、14~17世紀に行われていました。ウチバリの先生としては16世紀末の御園意斎がとくに有名で、あらゆる疾患を主に腹部への刺激で治療をしていました。
皮膚表面からこするように筋へ刺激を加える鍼で、筋のコリや痛みの治療に特化した鍼です。筋膜リリース(筋膜の調整でコリと痛みをとる治療)用の鍼です。お子様にも使えます。
皮膚表面に軽くあてて治療するための「皮膚刺激専用」の鍼です。お子様にも使えます。
古代の体に刺さない鍼は、いろいろアレンジされて、関西地方で小児用の鍼治療として大きく発展しました。熟練したはり師による体に刺入しない鍼の治療は、刺入する鍼にひけを取らずよく効きます。一般的な凝りや痛みはもちろん、さまざまな症状に用いられます。気分をすっきりさせて気持ちよくさせ、自律神経の不調を緩和する事を得意としています。
現在、最も汎用的に多く使われている鍼で、刺した部位の循環改善や筋緊張の緩和を引き起こす事が知られています。
痛みの治療に用いられる事が多いですが、さまざまなツボ(経穴)に刺激を加えて、多種多様の効能を発現させることを期待して使われています。
日本では、専用の管を用いて鍼を刺す管鍼(くだばり)が発達し、細い鍼を痛みが生じにくいように刺す方法が確立されているため、訓練されたはり師による治療ではほとんど痛みを感じません。
当院では、エチレンオキサイドガス滅菌された単回使用鍼(ディスポーザブル鍼)または高圧蒸気滅菌された鍼を用いて治療を行います(治療後に廃棄します)。滅菌というのは、細菌やウィルスが死滅した状態ですので、安心して治療を受けて頂けます。鍼の長さや太さについては、患者様の感受性や状態に合わせて様々な太さの毫鍼を用意しています。最も細いものでは直径0.12㎜と毛髮程度の太さを用意しておりますので、鍼を刺すときの痛みが心配な方でも安心して治療を受けて頂けます。
お灸とは、ヨモギ葉生成して線維を取り出して作られた艾を燃やしてツボを刺激する治療法です。お灸のツボ治療の文献の方が古いものが残っているため、ツボ治療は鍼よりも灸が先に行われていたのではと考えら れています。
お灸の治療は、健康維持、病気の予防、体に元気のない時、冷えの症状があるときによく用いられ、古来よりさまざまな症状に対するお灸のツボが伝わっています。一般的にも、胃腸を元気にして体力や足を強くす る足三里のお灸や、逆子の至陰のお灸は有名です。がん患者さんの痛みや体の不調のケアにも使われたり、アフリカではお灸を使った結核治療が行われています。
お灸の効能についてはこちらを「お灸と免疫」
お灸は熱いもの、火傷するものそして痕が残るものという印象がありますが、現在はやけどを防ぐ方法がいろいろ考えられていて、ほとんど心配ありません。
もぐさを捻って皮膚の上に置いた専用の紙、もしくは紫雲膏(しうんこう)と呼ばれる軟膏の上でもぐさを燃やします。艾炷(がいしゅ)と呼ばれるひねったもぐさは米粒程度の大きさで、さらに柔らかく(密度が低く)作られるため、燃焼温度が低く抑えられます。刺激に弱い患者さんには、さらに小さい米粒半分や糸状の小さい艾を用います。
もぐさと皮膚の間に空間をあけて、じわじわ温めるお灸です。いろいろな種類がありますが、当院では43°程度の温度の温灸を使用しています。
塩灸は、塩の上にもぐさをのせて火をつけ、温められた塩からの輻射熱によって温める方法です。一般的には、下腹部や臍へのお灸をするときによく使われる方法です。じわじわとし温熱が広い範囲の冷えを温めて、局部だけでなく体全体が温かくしてくれるとても良い方法です。当院では、和紙でできた箱の中に塩を入れ、その上にもぐさを載せて燃焼させています。