• テーラメイドな鍼灸を目指して

関元穴へのお灸は、運動耐性能力をあげるかもしれない。

  • 2018年10月17日

2015年に発表された珍しいお灸の論文からです。(お灸の研究は鍼よりすくないのです。)

引用:Effect of lit-moxa stimulation of Guanyuan (CV 4) acupoint on levels of lactic acid and super-oxide dismutase in skeletal muscle of rats(関元穴への温灸刺激がラットの骨格筋の乳酸レベルとスーパーオキシドディスムターゼレベルに与える影響)http://www.journaltcm.com/modules/Journal/contents/stories/152/16.pdf

著者らはネズミさんに2日に一度、下腹部の関元というツボに温灸を2週間続け、その後、水泳で疲労困憊(ひろうこんぱい、泳げなくなるまでの時間)するまでの時間、腓腹筋(ふくらはぎ)の乳酸(疲労物質)とスーパーオキシドディスムターゼ(SOD、細胞内活性酸素分解酵素)を調べました。乳酸とSODは任意単位を使っているのか文章中に単位がないのが残念ですが、現象自体は面白いので、精度の高い継続研究が望まれます。

泳げる時間が延びた

1.お灸もトレーニングもしていないネズミ 10 ± 8分
2.お灸をしていたネズミ           28 ± 11分
3.トレーニングをしていたネズミ              36 ± 18分
(平均±標準偏差)

お灸をしたネズミと定期的にトレーニングしていたネズミは何もしていないネズミに比べて、泳げる時間が延びました。

乳酸レベルが低下

疲労困憊後の乳酸の違い

1.疲労困憊させていないネズミ      6.9 ± 0.9
2.お灸もトレーニングもしてないネズミ  10.5 ± 1.3
3.お灸をしていたネズミ         8.8 ± 0.9
4.トレーニングをしていたネズミ     8.0 ± 1.0
(平均±標準偏差)

疲労困憊後、お灸をしたネズミとトレーニングをしていたネズミの乳酸レベルのは何もしていないネズミに比べて有意に低値でした。(増加が抑制されています)

SODレベル低下の抑制

1.疲労困憊させていないネズミ      61 ± 13
2.お灸もトレーニングもしてないネズミ  36 ± 6
3.お灸をしていたネズミ         49 ± 8
4.トレーニングをしていたネズミ     57 ± 8
(平均±標準偏差)

疲労困憊後、お灸をしたネズミとトレーニングをしていたネズミのSODレベルは何もしていない疲労困憊ネズミに比べて有意に高値でした。

著者らは、関元穴へのお灸は運動負荷に対する耐性を上げるかもしれないと述べています。実際に水泳時間はあきらかに延びていますので、可能性があるかもしれません。当たり前かもしれませんが、トレーニングは効果がでています。お灸と組み合わせるとどうなるかが気になりますね。

ちなみにこの関元穴ですが、人の元気が集まる「丹田」で、生殖(男女とも)、体の熱、強壮と関連すると言われています。武道や気功でも重要視しています。