• テーラメイドな鍼灸を目指して

太渓(太谿);たいけい ~泌尿器、生殖器、骨と関連するツボ~

  • 2018年12月1日

 太渓(たいけい)穴は、東洋医学の分類では腎の原穴(臓の代表のツボ)とされ、腎の臓の治療に使う経穴(けいけつ;いわゆるツボ)となっています。
ツボの場所は、内果(ないか;うちくるぶし)の後ろで、内果の一番高いところとアキレス腱の間のくぼみとされています。
また古典では、ツボの位置に動脈(後脛骨動脈)の拍動するところを意識していたようです。

 東洋医学の内臓の名称は臓器というよりは、密接に関連する「機能の集まり」につけられているため、「腎」ついても現代医学の「腎臓」と異なる所がおおくあります。

 東洋医学における「腎」の主な働きは諸説ありますが、尿の生成、生殖、発育、脳の栄養、体を温める、骨の成長・発育・修復、造血、吸気となっています。その他には、歯、耳、髪とも関連があると言われています。説明がつかないものもありますが、現代の生理学に照らし合わせても、機能的なあつまりとして捉えられるものが多く、腎臓、副腎そして卵巣と精巣(性腺)のが関連した働きを包括したものと考えられます。古代人が腎臓や性腺と骨(性ホルモンやミネラル代謝との関連)や造血(腎臓からのホルモンで赤血球が増える)との関連を見出していたことは非常に興味深いです。 

 鍼灸治療の現場において、「腎」を治療するとされる「太溪」に期待する効能は、諸説ありますが排尿障害、インポテンス、月経異常、不妊症、冷え・のぼせ・ほてり、不眠、物忘れ、腰のだるさなどです。また脳や腎臓の治療を期待して臨床研究が行われています。